罰則

 

許可なくまたは許可条件に反して特殊な車両を通行させた者、または道路監理員の命令に違反した者などに対しては、罰則が定められています。 この罰則は、違反した運転手ばかりでなく、事業主体である法人または事業主も、同じように科されます。 

 

  1. 車両の通行が禁止または制限されている場合、これに違反して通行させた者、許可条件に違反した者は、
    ●6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金 (道路法第101条第4項)
  2. 道路管理者または道路監理員の通行の中止などの命令に違反した者
    ●6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金 (道路法第101条第5項)
  3. 車両の幅、長さ、高さ、重さ、最小回転半径などで制限を超える車両を道路管理者の許可なく通行させた者、または許可条件に違反して通行させた者は
    ●100万円以下の罰金 (道路法第102条第1項)
  4. 特殊な車両を通行させるとき、許可証を備え付けていなかった者は
    ●100万円以下の罰金 (道路法第102条第2項)
  5. 車両の幅等、個別的に制限されている道路に車両を通行させて、通行の中止、総重量の軽減、徐行などの道路管理者の命令を受けながら、それに違反した者は
    ●50万円以下の罰金 (道路法第103条)
  6.  法人の代表又は法人若しくは人の代理人、使用人その他従業者が、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または事業主に対しても同様の罰金を科する(道路法第105条)

 

遵守事項

 

通行の許可を受けて通行するときには、次の事項を守らなければなりません。(道路法第47条の2第6項

 

(1)許可書の携帯

許可証は通行時、必ず許可に係る車両に備えつけること。

 

(2)通行時間

通行時間が指定されている場合は、その時間内に通行すること。

 

(3)通行期間

許可された期間内だけ通行すること。

 

(4)通行経路

許可された経路以外は通行しないこと。

 

(5)通行条件

橋、トンネル等での徐行、誘導車の配置等が義務づけられているときには、必ずその措置をとること。

 

(6)道路状況

出発前に、道路管理者または(財)日本道路交通情報センターに、許可された道路の状況を確認すること。(「道路交通情報」参照)

 

(7)事故のとき

万が一、事故のときには直ちに応急措置をとり、道路管理者に報告すること。

 


 

 

・取り締まりについて

 

各道路管理者が主体となって行い、時には警察と合同で取り締まりを行う。

 

違反内容と違反行為に対する処罰(警告書、措置命令、即時告発)

 

条件違反と無許可走行は違う(許可証はあっても許可証の数値を超えていれば無許可走行となる)

 

1.取締方法

 

①「指導取締基地」で車両を引き込み取り締まる方法

 

道路脇に設置された「指導取締基地」に車両を引き込み、「重量・寸法」の計測を行い、違反者には「措置命令」や「指導警告」を実施する。車両制限令違反が1回目では「警告」のみで事業者宛に文書又は電話での「行政指導」となる。車両制限令違反が2回累積すると「警告」や「是正指導」(国道事務所等に呼び出され対面で「行政指導」)となる。車両制限令違反が3回累積すると国土交通省のホームページに1年間是正指導内容等が「公表」される。掲載後1年以内に再び違反した場合はその月から1年間継続で掲載される。車両制限令違反が4回累積すると「公表」され「特車許可の取消し」や、「告発」の対象となる。なお、直近の警告から1年間違反しなければ累積回数は消滅する。

 

②「自動重量計測装置等」による取り締まる方法

 

基準を超える走行車両の重量、車両を特定するためのナンバーを常時測定し、通行許可と照らし合わせ違反車を判定する。

 

軸重20t超で走行を1ヵ月中に2回又は軸重20t以内での走行を3ヵ月中に20回自動重量計測装置で発覚した場合、1回目の車両制限令違反となり「警告」(事業者宛に文書又は電話での「行政指導」)や「是正指導」(国道事務所等に呼び出され対面で「行政指導」)を受けることになる。2回目以降の車両制限令違反は軸重20t超で走行を1ヵ月中に1回となり厳しくなる。軸重20t以内での走行を3ヵ月中に20回は変わらない。4回目の車両制限令違反では国土交通省のホームページに1年間、是正指導内容等が「公表」される。掲載後1年以内に再び違反した場合はその月から1年間継続で掲載される。5回目の車両制限令違反では「公表」され「特車許可の取消し」や、「告発」の対象となる。

 

※自動重量計測装置違反の回数は車両ごとではなく会社ごとでカウントされる。

 

 

 

 

 

 

 

2.警告と措置命令

 

①警告

 

違反程度が「措置命令処分」を行う必要がないと認められる場合は、「警告書」が発出される。

 

②措置命令

 

重量等の軽減等の措置が可能である場合には重量を軽減する「措置命令」を、分割等が不可能である場合は必要に応じて通行の中止等の「措置命令」が記載された「措置命令書」が発出される。

 

3.繰り返し違反の際の措置

 

許可なく若しくは許可条件に違反して特殊車両を通行させ、死亡・重傷などの事故または道路を損壊させる重大事故を発生させたとき。

 

許可なく若しくは許可条件に違反して特殊車両を通行させ、通行の中止、総重量の軽減、徐行などの道路管理者の命令を受けながら、それに違反したとき。

 

許可なく若しくは許可条件に違反して特殊車両を通行させることを常習的に行ったとき。

 

以上の条件に該当する悪質な違反者は、「行政指導」(国道事務所等に呼び出され対面での是正指導)、行政指導内容の「公表」(国土交通省のホームページに社名等が掲載されます)、「許可の取消し」、警察へ「告発」(極めて悪質な場合)の対象となる。

 

※措置命令について

 

車両総重量や車幅の計測、特殊車両通行許可証の確認を経て、違反の有無を判断し、違反の程度が軽微な場合は「指導警告」、重大な場合は「措置命令」(行政処分)を当該違反車両の運転手に命じる。「措置命令」(行政処分)には以下のようなものがある。

 

.積荷の減載

 

安全な場所へ移動し、積荷を通行できる重量まで減らすことを命じる。

 

. 許可を受けるまで車両を留置

 

安全な場所へ移動し、特殊車両通行許可を受けるまでの間、車両を留置させる。

 

.指定した場所からの流出(高速道路の場合)

 

道路管理者が指定したインターチェンジなどから退出を命じる。

 

.許可条件を満たして通行

 

許可証で指定された通行条件(通行時間帯、誘導車配置など)を満たして通行することを命じる。

 

 

 

「措置命令」に違反したり、重大な交通事故を発生させた場合や、常習的に違反を繰り返している場合は、国道事務所等に呼び出され「対面での是正指導」や「事業者の公表」、「通行許可の取消し」、警察への「告発」をされることになります。

 

4.即時告発制度について

 

国土交通省は平成2659日付けで「道路の老朽化対策に向けた大型車の通行の適正化方針」を策定し、今後、悪質違反者には厳罰化していくことを盛り込んで公表した。この方針に関係する具体的な施策の一つとして、平成27123日に車両総重量が車両制限令の一般的制限値よりも2倍以上超過している悪質違反者については、違反事実をもって「告発」を行う「即時告発」(レッドカード)の実施方針が打ち出され、同年223日に施行された。

 

高速道路機構及び高速道路6会社においても、この方針を参考に、悪質違反者への厳罰化を図っている。

 

 

 

※レッドカード判定の「基準の2倍以上の重量」の計算例

 

.無許可車両の場合

 

車両総重量が「基準×2」以上の車両

 

a.セミトレーラ連結車(特例5車種・最遠軸距離10m以上)の場合

 

一般的制限値27t×2(重さ指定道路・指定道路以外)=54

 

 

 

b.セミトレーラ連結車(特例5車種以外)と単車の場合

 

一般的制限値25t(最大)×2(重さ指定道路)  =50t(最大)

 

一般的制限値20t(最大)×2(重さ指定道路以外)=40t(最大)

 

 

 

.特殊車両通行許可を受けた車両の場合

 

許可を受けた車両の総重量から車両の総重量の最高限度を減らした重量に、車両の総重量の最高限度の2倍の重量を加算した重量になる。

 

 

 

車両総重量が「基準×2+(許可総重量-基準)以上の車両

 

 

 

a.セミトレーラ連結車(特例5車種・最遠軸距離10m以上)の場合

 

(通行許可を受けた総重量が36tの場合)

 

一般的制限値27t×2(重さ指定道路・指定道路以外)+36-27t)=63

 

 

 

b.セミトレーラ連結車(特例5車種以外)の場合

 

(通行許可を受けた総重量が50tで重さ指定道路の場合)

 

一般的制限値25t×2(重さ指定道路)+50-25t)=75

 

 

 

(通行許可を受けた総重量が50tで重さ指定道路以外の場合)

 

一般的制限値20t×2(重さ指定道路以外)+50-20t)=70

 

 

 

 

 

5.罰則について

 

「特殊車両通行許可申請」において、許可なくまたは許可条件に反して特殊な車両を通行させた者、または道路監理員の命令に違反した者などに対しては、「罰則」が定められている。この「罰則」は、違反した運転手ばかりでなく、事業主体である法人または事業主も、同じように科される両罰規定である。主に道路管理者から警察へ「告発」された場合に罰せられる。

 

  1. 車両の通行が禁止または制限されている場合、これに違反して通行させた者、許可条件に違反した者は6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路法第103条第4項)

     

 

道路管理者または道路監理員の通行の中止などの命令に違反した者6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金 (道路法第103条第5項)

 

 

 

  1. 車両の幅、長さ、高さ、重さ、最小回転半径などで制限を超える車両を道路管理者の許可 なく通行させた者、または許可条件に違反して通行させた者は100万円以下の罰金(道路法第104条第1項)

 

 

 

  1. 特殊な車両を通行させるとき、許可証を備え付けていなかった者は100万円以下の罰金(道路法第104条第2項)

 

 

 

車両の幅等、個別的に制限されている道路に車両を通行させて、通行の中止、総重量の軽減、徐行などの道路管理者の命令を受けながら、それに違反した者は50万円以下の罰金(道路法第105条)

 

 

 

法人の代表又は法人若しくは人の代理人、使用人その他従業者が、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または事業主に対しても同様の罰金を科する(道路法第107条)